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オカナツワールド

シェルブールの雨傘再考

昨年シェルブールの雨傘のミュージカルを観た時に、この物語は悲しいエンディングなわけではないのになぜ泣けるのか、ということについて考えようと思っていてできてなかったのだけど、今回映画を「ながら観」ではあっても一応観ましたので、もう一度考えてみます。

この映画を観て悲しかったのは、結構こういうことってあるよね、ということ。
ジュヌビエーブが薄情なわけでもお母さんが金の亡者なわけでもギイが情けないわけでもなくて、結構タイミングが悪いとこういうことってあるな、っていう。

ジュヌビエーブもギイもいい人(薄情ではないという意味で)だったし、愛し合ってた時間があるのは紛れもない事実で、でもいろんなタイミングが重なって結ばれ得なかった
愛は永遠、とか甘っちょろいこと言っててもそういう運命のいたずらみたいなものは意外と簡単にやってくるし、しかも結構簡単に負けてしまう
でも人間は結構強くて、次の幸せを築いて、それはそれで満足で、前の恋愛に頑張れなかったことに鈍い痛みは覚えても後悔はしていない

ここで会わなきゃ鈍い痛みですんだ、思い出すことも無かったのに、雪の日のガソリンスタンドで会っちゃうんだよね、そういう偶然も生きてりゃないことはないです

あの突然の邂逅で、ほとんど言葉を交わすことも出来ないまま、何を思うだろう
相手は幸せなのだろうか、幸せでいて欲しいと思うか、不幸になっていればいいのにと思うか、自分のほうが幸せだと思いたいのか、それはちょっと分からないけど、少なくともどちらもそれなりに幸せに暮らしている、ことがお互いに見て取れる
もしこの人との愛が続いていたらあるいは、とか思うんだろうか。
ジュヌビエーブは、子どものパパは、とか、手紙を書いたのよ、とか言いたかったんだろうか

そして、昔あんなに愛し合った二人なのにそんなことはなかったかのように他人行儀に別れる、おそらくはもう会うことはないだろう、と思いながら、そして二人のそれぞれの日常は続く、こんな邂逅もなかったかのように

うーん、なんか、だから何だ、という感じで「だから泣けた」と言う決定打が書けませんが、私が涙が止まらなかったとき頭の中を「こういうことってあるある」っていう言葉がぐるぐるしていたので、そんなあるあるネタが悲しくさせたんでしょう。(やっぱり分からんぞよ)

フランスの映画を若い頃は好きではなかった、盛り上がりが無くて、日常の一端を切り取っただけ、という感じがして何の面白みも分からなかった

やっぱり歳ですかねぇ、日常の一端を切り取ってるからこそ理解できるものがあることが分かりました。

また何度も観ますけれど、フランス語じゃなくて日本語で吹き替えて欲しい…フランス語嫌い…
by okanatsuworld | 2010-04-06 20:09

無芸大食晴れ女オカナツが留学時代に記していた「無芸大食留学備忘録」の帰国後バージョンです。
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2004.7-2005.9の英国留学時代、「無芸大食留学備忘録」というブログを記しておりました。

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